Entrancebook for engineer.
このページでは、キャディの向き合っている課題や事業について、大枠を理解をしてもらうための情報をまとめています。
ぜひカジュアル面談や面接の前に、読んでいただけますと幸いです。
①キャディについて
キャディは2017年11月9日に創業された、現在8期目のスタートアップです。
◆創業から7年間の変遷サマリ
- 2017年11月9日に、CEO加藤とCTO小橋の2人で共同創業されたキャディは、3D図面の自動見積もりサービスから事業をスタート。
- その後、2D図面の受発注プラットフォーム事業(CADDi Manufacturing事業)を開始
- 2022年にはベトナム、タイ、アメリカと3カ国に展開するまでに事業を拡大。同年にCADDi Drawerを正式リリース。
- 2023年7月にはシリーズCで大型の資金調達を実施し、累計217億円を調達しています。
- 2024年7月に、CADDi ManufacturingとCADDi Drawerの事業統合を発表し、データプラットフォーム事業として現在、第2創業期を迎えています。
②キャディは何をしようとしているのか?
ほとんどの候補者の方々にとって馴染みの薄い「製造業」というドメインで、BtoB向けのプロダクトを展開しているキャディは、一体何をしている会社なのかと疑問に思われることも少なくありません。
ここでは、キャディが向き合っている製造業の課題や、どんな世界を目指しているのかを解説していきます。
キャディが向き合っている製造業とはどんな産業?
製造業は、実はみなさんにとって非常に身近で関わりのある業界です。
例えばいつも通勤で使っている電車や自動車も、仕事で使っているPCやスマホも、毎朝コンビニで買っているおにぎりさえも、ありとあらゆるモノが産業機械や加工会社の手によって生み出されています。
製造業は世界最大の産業で、その市場規模はグローバルで2000兆円にも到達すると言われています。(* Iotのみに焦点を当てたとしても日本の名目GDPとほぼ同額という凄まじい大きさです。)
製造業ではどんな問題が起きている?
そんな巨大な製造業ですが、実は現場では様々な問題を抱えています。
ものづくりに時間を使えない町工場の社長さん
例えば、映画やドラマに出てくるような「町工場の社長さん」をイメージしてみてください。
彼らは非常に高度な技術力や開発力を持ったスペシャリストですが、普段はモノづくりに十分な時間を割けていません。
メーカーから日々何十枚と送られてくる見積もり依頼の対応や、問い合わせの対応に時間を取られ、ものづくりに向き合う時間を十分に作れていないのが現状です。
トラブル対応に忙殺される調達担当者
一方で、そんな「町工場の社長さん」に見積もりを依頼している「メーカーの調達担当者」の方々はどうでしょうか。実は彼らもまた非常に大変な状況に見舞われています。
本来は調達戦略など、より高度な調達業務に時間を割いていきたいものの、実際には日々発生する納期遅延やトラブル対応などに忙殺され、業務の7割以上の時間を失っていると言われています。
DXの進まない現場
またデジタル化、効率化が叫ばれる昨今ですが、製造業の現場では未だにFAXでのやり取りや、紙の図面/資料でのやり取りが行われています。DXの遅れた業界としてもイメージをお持ちの方も多いと思います。
こういった様々な問題は、日本に限らず世界中の現場で同様に発生し、100年以上解決されずに残っています。
これは一人ひとりの能力によるものではなく、産業構造によるものだと私達は考えています。
製造業の問題は、なぜ発生し続けるのか?
現場で起き続ける様々な問題を、キャディはもう一段抽象的な、産業構造の問題として捉えています。(*この資料の中で一番理解いただきたい箇所です!)
1.個別最適化が進みやすい
デジタルな世界で完結しない「製造業」だからこそ、実際のモノづくりをするために、物理的に近い関係性の間で物事を進めたくなるインセンティブが働きます。
例えば、自動車や半導体製造装置のトップメーカーでさえも、取引をしているサプライヤーの大部分は自動車で10分でいけるような範囲に集中しており、いわゆる「近隣のサプライヤー」と50年60年と続くような密な関係性を築いています。
また、実際にものづくりが1,2社で完結することは非常に稀で、様々な会社や数多くのステークホルダーと協力しながら進める必要があります。
それ故に、何か1つの変更が後工程全てに影響を及ぼしてしまうため、できるだけ周りに影響を及ぼさないように、自部署の中だけで解決できることだけに集中したくなるインセンティブが働きます。
こうして、製造業は各所で個別最適化が進んでいます。
2.データのサイロ化(分断)が進む
個別最適化が起こると、半ば必然的にデータの分断が進みます。
例えば「設計部署」が持っているデータを「調達部署」はアクセスできない、「製造部署」が持っているデータを「設計部署」は知らないといったことが、同じ会社の中であっても数多く発生します。
これらは、工場と工場の間や、サプライヤーとメーカーの間、部下と上司の間、過去の担当者と今の担当者の間でも同様に発生します。
3.各所で車輪の再発明が起こる
データの分断により、過去に経験したことのある業務にもかかわらず、車輪の再発明が頻発します。毎回同じことをゼロベースで実行し、同じようにトラブルが発生し、同じように問題解決に奔走してしまっているのが現状です。
例えば、過去に一度トラブルが発生した機種と類似の機種を新規開発する場面においても、「設計」の方は「製造」が持っている品質不具合の情報を知らないケースがよくあります。
こうして前回と同じような設計をしてしまい、数カ月後に製造に流れた際に、また同じような品質トラブルに見舞われるということを何度も繰り返しています。
キャディが目指している世界観
製造業は「個別最適化」→「データのサイロ化」→「車輪の再発明」という構造により、100年以上同じような問題が解決されずに繰り返されています。
キャディはこうした毎回ゼロから車輪の再発明が行われ続ける構造から、日々のデータや業務、トランザクションなどが資産として積み重なり、過去の資産を活用して業務の高度化が進むような世界を目指しています。
そして、資産化のループを作っていくことで、これまで埋もれていた「ものづくりのポテンシャル」を解放することを目指しています。
③提供しているプロダクトについて
ここまで製造業の問題についての全体像を説明してきましたが、ここからは実際にキャディがどういったアプローチで解決を目指しているのかを説明していきたいと思います。
製造業における最重要データは何か?
キャディはデータのサイロ化から脱却するために、製造業に存在する全てのデータを繋ぎ合わせ、活用できる状態に整理することを目指しています。
全てのデータをつなぎ合わせる上で一番の近道は、最も重要なデータに対して周辺のデータを紐づけることです。それでは、製造業における最重要なデータとは何でしょうか?
それは「図面」と呼ばれる設計図のデータです。
図面は製造業におけるほぼすべての工程で参照される非常に重要なデータです。
しかし、そんな重要なデータであるにもかかわらず、図面は「そもそも構造的なデータになっていない」という大きな課題を抱えています。
図面はPDFやTIFなどの2次元のデータで流通しているため、そこに書かれているすべての情報は非構造的な1つの画像データとなっています。
そのため、例えば過去に作った図面群から「部品名が軸で、材質が鉄の、40mmくらいの製品を探したい」という要望を叶えることさえも一苦労です。
キャディはこうした「図面」にまつわる課題をフックに、「CADDi Drawer」を展開しています。
CADDi Drawerでは何を実現しているのか?
2022年にローンチしたCADDi Drawerは、「図面を構造的なデータに変換し」→「図面のデータに対してその他の様々なデータを紐づけることで、」→「日々の業務が改善されるループを作っています」。
図面を構造的なデータに変換
こちらはCADDi Drawerのデモ動画です。
動画の冒頭にあるように、PDFなどの2次元の画像データを画像解析の技術によって、製品の形状やサイズの情報、材質や表面処理の指示、図面番号などの重要なデータを、構造的な形に置き換えています。
図面データに対して、様々なデータを紐づけ活用する
構造的なデータに置き換えができると、図面に対して発注実績や品質不具合のデータなど、その他様々な周辺データを紐づけることが可能になります。
これにより、例えば「過去に作った機種と類似の機種を設計/製造する」場面において、
過去の図面に紐づく様々な情報をまとめて参照することができます。
品質不具合が起きていた場合には、製造に流す前に設計者が図面を改善する。
過去の発注金額をベースに、今回は見積もりを取らずに予算の組み立てができる。
こうして今までは繰り返し起こっていた業務を不要にし、より高度な業務やプロセスに進化することができるようになるのです。
CADDi Drawerは順調なの?
正式なリリースからの2年間の成長は、グローバルでもトップクラスの成長曲線を描いており、そういった意味では順調とも言える滑り出しです。
既に様々なトップメーカー様にご導入をいただき、2024年からはUSやASEANでの拡大も進めています。
しかし一方で、まだまだスタートしてたった2年ということもあり、ここからの拡大が非常に重要です。
キャディが目指しているのは製造業全体の改革であり、それは日本に限られた話ではありません。
Googleの2023年度の売上は3,056億米ドルでした。
キャディが本当の意味で世界を変えるとき、その規模は文字通りいまとは「桁違い」になっているはずです。
④今後のプロダクト戦略ついて
ここからは、今後のプロダクトの展開やグロースの戦略について解説をしていきたいと思います。
データプラットフォームとしてのCADDi
CADDi Drawerが目指しているのは単なる図面管理SaaSではありません。
製造業におけるありとあらゆるデータを集約し、グローバルで当たり前に使われるようなデータプラットフォームを目指しています。
しかし、データプラットフォームの実現にはいくつ解決しなければならない課題があります。
1つはデータの入口をどう作るか。もう1つは集めたデータの活用先として出口をどう準備するかです。
データの入口をいかに作るか
まずはデータの入口ですが、一口にプラットフォームといっても、データを入れてくださいとお願いして入れてもらえるわけではありません。当然データを入れるインセンティブがユーザー側に必要で、入口の設計がとても重要です。
また、製造業はリアルな世界が存在するため、そもそもまだデータ化されていない業務領域が数多く存在しています。
2つ目のプロダクトとして2024年にリリースした「CADDi Quote」は、まさにこれらを打破する第一弾として開発されました。
メーカーとサプライヤーの間でなされる「見積業務」は、これまでFAXや電話、メールにExcelを添付するなどの手段で実施されてきました。こういった業務はそれ自体が非効率なうえに、見積もりのデータが個人個人のメールの中に埋もれてしまい蓄積されないという課題がありました。
CADDi Quoteはこうした見積における様々な負をテクノロジーで解消し、またユーザーがアプリケーション上で業務を行うことにより、これまでデータ化できていなかった見積の情報を蓄積することを可能にしました。
データの出口をいかに作るか
またCADDi Quoteは同時に出口としての役割も果たしています。
見積データが蓄積されることで、CADDi Drawerの中でその他のデータが繋がり、
例えば見積もり依頼時にサプライヤー選定をAIでアシストする、価格低減の余地を分析する、などが可能になります。
CADDi Quote単体でも、1つの会社として成り立つほどのポテンシャルを秘めていますが、
こういった、プラットフォームに集約したデータを活かしながら、実際に価値を届けるレイヤーとしてのプロダクトも今後同時多発的に開発を予定しています。
今後数年で数多くのアプリケーションを提供予定となっており、これらを開発するエンジニアや、実際に世の中に普及させていくフィールドセールス等々、優秀なメンバーを集めることが事業上の大きな課題の1つとなっています。
世界の誰にも解けなかった問題を、なぜキャディが解けるのか?
これまで100年以上、世界の誰も解けなかった問題にキャディは挑戦をしています。
それはここまで記載してきたように、産業構造の課題であり、製造業のあり方から刷新するような大きな挑戦です。
しかし、この挑戦は世界においてキャディだからこそできると確信しています。
製造業における様々な問題は、「個別最適化」から始まります。これは実際にトランザクションの中に入って、1プレーヤーとして参入すると同じ構造を再生産してしまうため、横串のインフラ的存在としてアプローチする必要があります。
(*これはトヨタさんほどの規模になってもなお、世界をトヨタのやり方で標準化できていないことからも明らかです。)
また一方で、横串の存在としてアプローチすれば解決できるのかと言われるとそうでもありません。製造業は業界としての歴史も古く、現場の課題解決にはそれぞれの業務領域に対して非常に深いドメイン知識が必要になります。
そのため製造業全体を変えるには「横断的アプローチ」×「製造業の深いドメイン知識」の掛け合わせが必要になるのです。
キャディは図らずも、祖業としてManufacturing事業を進める中で、モノづくりの大変さを肌身をもって体感してきました。そこで培ったノウハウや人的資本を抱えています。
また2024年7月に行った事業統合により、データプラットフォームとしてのアプローチへと切り替えを行いました。
Manufacturing事業で培ったモノづくりのノウハウを、ソフトウェアとしてCADDi Drawerに搭載し、世界を変える。
これがまさに、キャディがこれからやろうとしていることです。
⑤課題が解決された先で、世界はどう変わるのか?
キャディが製造業のあり方を変えたとき、そこは一体どんな世界になっているのでしょうか。
- ベテランと新人が手を取り合い、仕事がよりクリエイティブで楽しいものになる
- 強みを活かしきれていない現場の方々や、会社や、国が、自らの強みを最大限発揮できるようになる
- より良いものがより速く、より少ない資源で製造され、サステナブルにモノが作られる
- 良いものがより安く流通し、我々消費者の生活が豊かになる
などなど、数え切れないほどの変化が生まれるはずです。
また加えて、現時点で想像できること以上のことが起きる可能性もあると思います。
皆さんはスマートフォンが出てくる前に、いまの生活を具体的に想像できていたでしょうか。
世の中を大きく変えるプロダクトは、そのプロダクトの中だけではなく、周囲のイノベーションを誘発し、次々と新しい仕組みを生み出します。キャディが世界全体で製造業のインフラ的存在となったとき、今では想像もできないようなイノベーションが生まれてくるはずです。
そんな妄想に想いをはせながら、地道に泥臭く、目の前の課題を解決しながらキャディは前進を続けています。
◆We are Hiring!
キャディは今がまさに第2創業期であり、この壮大な挑戦を一緒に取り組む創業メンバーを募っています。
- 産業構造を変えるような社会的インパクトのある事業に興味がある方
- 誰も解いたことのない難しい問題に燃える方
- 日本発のソフトウェアで世界を獲りたい方
などなど、ぜひ一度お話させてください!
⑥キャディについてもっと知りたい方へ
おすすめの記事や資料を添付します。
開発組織の構成・技術スタック・アーキテクチャ
CADDiの開発組織や技術についてまとめたスライドです。
働き方
Q&Aページも併せてご覧ください。
ML/MLOpsエンジニア向け資料
ML/MLOpsエンジニアの方はこちらのページも是非ご覧ください。
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